ハモリとは何か?
ハモりのメカニズム。
ハモりについては色々な説があり、
どれが正しいかはハッキリ言えません。
異なる音源に含まれる倍音が互いに強調し合って、
心地よく聞こえると言う説を目にすることがありますが、
それが正しいとすれば、ユニゾンがいちばんのハモリということになり、
全く持って本末転倒してしまいます。
そこで、ハモリを説明するには差音という概念がなければ、
今のところ説明が付かないと僕は考えています。
では、差音とは一体何なのでしょうか。
例えば440Hzと442Hzの音を同時に同じくらいの音量で鳴らすと、
互いの周波数の差である2Hz(1秒間に2回)のウナリが発生します。
このウナリこそが差音と呼ばれるものです。
原音440Hz(A4)と原音550Hz(C♯5)が同時に鳴っている時は、
110Hz(A2)の差音が発生していることになります。
実際には原音に溶け込んでいるので滅多に聞こえることはありませんが、
異なる周波数の音からウナリが発生するということは、
複数の異なる音程を同時に出せば、
必ず差音が発生しているはずなのです。
更に、原音と差音の間にも差音が発生しているはずですので、
差音はどんどん増えていくはずです。
しかし、綺麗にハモっていれば、
原音と差音から発生する差音は、ある程度のところで、
既に存在する差音や原音と同じ周波数になり、
それ以上の差音は発生しない状態になります。
このように、ある程度の差音が発生し、
尚且つそれ以上の差音が発生しない状態がハモりであり、
人はそれを心地よく感じると考えられます。
実際に440Hzと550Hzの音を同時に鳴らし、
スペクトラムアナライザーで周波数を解析してみました。(下図)
上図では440Hzと550Hzの2つの音のみを鳴らせているのですが、
それより低い音が含まれる様子が分かると思います。
これらが測定された差音ということになりますが、
このように各周波数において、山と谷が出来ている状態がハモった状態で、
この時に出来るいちばん低い差音が「根音」と呼ばれる音になります。
よってベースの音を入れる時も、この山と谷を崩さないように入れる必要があり、
この場合は55Hz(A1)や110Hz(A2)又は220Hz(A3)等をベースの音にすると、
ハーモニーが濁らないと言うことになります。
もちろん330Hz(E4)でも良いのですが、根音がAなので、
ベース音はなるべくAであるほうがコード感がハッキリします。
この現象を逆手に取れば、ベースの音を根音から外して、
わざとハーモニーに濁りを与えることもできます。
差音のできる様子。
この差音が生まれる原理を、もう少し噛み砕いて説明してみます。
下図の手前側から、原音同士の差音が生まれ、
更に差音と原音の差音が2つ生まれ、
続いて差音と差音の差音が生まれる様子をイメージしてみました。

原音550Hz-原音440Hz=差音110Hz
原音550Hz-差音110Hz=差音440Hz
原音440Hz-差音110Hz=差音330Hz
差音330Hz-差音110Hz=差音220Hz
より綺麗にハモる音程とは...。
ここでは平均律と純正律について書いておきます。
平均律とは、1オクターブを12等分した音程で、半音高くなるごとに、
2^(1/12) という無理数(1.0594630943592952645....)を乗じた値で、
この音程よりも、綺麗にハモるように音程を調整してあるのが純正律です。
さきほどからC♯5は550Hzであると書いてきましたが、
A4=440HzにおけるC♯5は、平均律で約554Hzなのです。
そうなると差音は114Hzになってしまうので、
原音と差音の差音や、更に差音と差音の差音が無数に発生し、
山と谷がくっきりとしないので、完全にハモった状態になり難いのです。
そこで、微妙な音程の調整をすることにより、
より綺麗にハモれるようにする純正律と呼ばれる音程を取るほうが、
クリアにハモるには良いとされています。
根音をCとした場合に、どの音程でより綺麗にハモれるのか、
1オクターブの周波数を5〜9分割の棒グラフにして、
平均率と比較してみました。(下図)
上図においての音程が平均律です。
平均率では半音に対して無理数を乗じていった値ですので、
オクターブ以外は単純な整数比にはなりません。
平均律に近い整数比の部分を
で表していますのでと比較してみて下さい。
例えば根音がC(ド)の場合に第3音であるE(ミ)を低めに取ると、
綺麗にハモりやすいと言われているのは、平均律のEを低めに取った時に、
CとEが綺麗に4:5の周波数になるからであると言えます。
第9音にあたるDも、高めに取ると8:9になり、ハモりやすくなるのです。
それ以外の音程でも根音に対して単純な整数比であればハモることができ、
図のA♯やBについては、8分割のところで音程を取る場合もあります。
半音(CとC♯)のハモリに付いては16分割する必要があり、
非常にハモり難いので、今回は省略させて頂きます。
長々と講釈をたれましたが、
実際に歌いながら「この音はマイナーの第3音だから高めに取って...」
なんて考えることは不可能に近いと思いますし、
ハモれる音程は9分割までで考えても27種類もあります。
もっと分割すれば、ハモれる音程は無数に存在しますので、
そのどこかでハモれば良い訳ですが、
何分割のところでハモるかによって響きが変わってきますので、
気持ちの良いところで歌えば良いと思います。
慣れてくると自然に純正律で歌えるようですので、
あまり気にする必要も無いと思っていますが、
純正律と反対方向に音を外すと著しくハモり難い場合がありますので、
豆知識として頭の片隅に置いておけば良いと思います。
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